【育成就労制度とは】技能実習との違い・開始時期など|詳しく解説 - にほんご Study

【育成就労制度とは】技能実習との違い・開始時期など|詳しく解説

役立つ知識

「技能実習」が「育成就労」に変わるって本当?
「技能実習」と「育成就労」の違いは?

本記事では、このような疑問を解決します。

まず結論から申し上げると、

・政府は技能実習制の廃止と、代わりとなる育成就労制度の創設を予定しています。
・技能実習制度と育成就労制度の主な違いは「目的」「職種」「転職の可否」です。

それでは、詳しく解説していきます。

育成就労制度とは(技能実習制度との違い)

育成就労制度を語る上で、まず技能実習制度が廃止される背景を知る必要があります。

技能実習制度廃止の背景

現行の技能実習制度とは、
「国際貢献として、開発途上国から来日する『実習生』に、日本の技術を移転する」
ことを目的として創設された制度です。

しかし実際には、日本企業は「人手不足の担い手」として実習生を雇用し、
実習生は「出稼ぎ」のために来日している、という状況が続いていました。

このように、制度の目的と現状が乖離していることや、
実習生の転職が原則不可であることを人権侵害だと指摘されたことを受けて、
技能実習制度の廃止 & 新たに育成就労制度の創設に至りました。

このような背景で創設された「育成就労制度」について、
技能実習制度との違いをポイントに、詳しく解説していきます。

特定技能制度との関係

技能実習制度とは別に、「特定技能制度」というものもあります。
これは日本の人手不足を背景に設立された制度です。

しかし、特定技能制度では
・ある程度の日本語能力(日本語能力試験N4レベル)
・ある程度の技術力(3年間の技能実習を終えた技術レベル)

が必要とされています。

そのため、特定技能制度で受け入れることのできる人材は、
「技能実習制度で3年間就労した実習生」や、
「母国で日本語と日本の技術を学んだ外国人の方」だけです。

また、現行の技能実習制度と特定技能制度では、
「受け入れ対象職種が異なる」「そもそも制度の目的が異なる」などの隔たり
がありました。

今回、新たに創設される育成就労制度ではこの辺りの隔たりも解消するため、
・受け入れ職種を特定技能の分野に合わせる
・技術力だけでなく、日本語能力の向上にも焦点を当てる

などの対策をとっています。

職種

育成就労制度で受け入れることのできる職種は、現行の「特定技能」で受け入れられる分野です。
※しかし、全ての分野で受け入れられるわけではありません(詳細は令和6年2月時点で不明)。

受け入れ機関・育成就労生の義務

技能実習制度では、
・受け入れ開始から1年以内に「技能検定試験(基礎級)等」の受験 & 合格
・受け入れ開始から3年以内に「技能検定試験3級等」の受験
が義務とされていました。

育成就労制度では、
・受け入れ前に「日本語能力N5レベル」の合格 or 「日本語講習の受講」
・受け入れ開始から1年以内に「技能検定試験(基礎級)等」&「日本語能力N5レベル」の受験
・受け入れ開始から3年以内に「技能検定試験3級等」or「特定技能1号評価試験」 & 「日本語能力N4レベル」の合格

が義務化されています。

転職制限

技能実習制度では、やむを得ない事情(受け入れ機関の倒産、人権侵害行為等)がない限り、原則転職が不可でした。

この制度のせいで、受入企業と実習生との間で明確な上下関係が発生してしまい、
人権侵害行為や暴力問題などが起きていると問題視されていました。

そのため、育成就労制度では転職要件を緩め、
「やむを得ない事情」の範囲を拡大・明確化することで転職しやすくします。

しかし人材育成の観点で考えると「同一の機関で就労を継続する方が効果的である」
という意見もあり、育成就労制度でも
・原則1年間は転職は不可
・技能検定基礎級等 & 日本語能力N5レベルに合格していない場合は不可
・他分野への転職は不可

などの制限があります。

また、育成就労で来日する外国人を受け入れるためには、かなりの初期費用がかかります。
そのため、本人の意向で転職をする場合、
受け入れにかかった初期費用の一部を転職先の受け入れ企業が負担する
などの措置
を取ることになっています。

開始時期

2023年11月時点で、「技能実習の廃止 & 育成就労制度の創設」に関する最終報告書がまとめられました。2024年2月、政府は「技能実習の廃止 & 育成就労制度の創設」の方針を固めたと報じられています。

詳細は通常国会で決まる予定です。具体的な法案や施行時期が決まり次第、また記事を更新していきます。

まとめ

本記事では、技能実習制度と育成就労制度の違いについて、まとめました。

主なポイントとしては、「制度の目的」「受け入れ職種の変更」「転職の可否」の3点です。

参考にさせていただいた資料

法務省 『技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議』(https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00033.html

令和5年12月 法務省 『技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議について~最終報告書(提言)について~』(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_suishin_r01/04/pdf/93982801_04.pdf

読売新聞オンライン『技能実習に代わる「育成就労」創設に向けた政府方針決定…転籍制限「1~2年」に緩和』(https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240209-OYT1T50045/

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