【国家資格:登録日本語教員になる方法】経過措置・試験の解説 - にほんご Study

【国家資格:登録日本語教員になる方法】経過措置・試験の解説

役立つ知識

登録日本語教員とは

「日本語教師が国家資格になるって本当?」
「登録日本語教師にならなければならないの?」
「資格の取得方法を教えて!」

このような疑問にお答えします。

結論から申し上げると、

・登録日本語教師は国家資格である

・認定日本語教育機関(現行の告示校等) で働くためには、
登録日本語教師になる必要がある

・資格取得には、教員試験の合格 + 実践研修の修了が必要

ということになります。

以下、「認定日本語教育機関」や「登録日本語教師になる方法」について、
詳しく解説していきます。

概要

2024年4月から施行される「日本語教育機関認定法」により、
① 日本語教育機関認定制度の創設
② 認定日本語教育機関の教員の資格の創設

がされることになりました。

① 日本語教育機関認定制度の創設

現行の「告示校」が「認定日本語教育機関」に変わるというイメージです。

きちんと日本語教育課程を実施することができると認められた日本語教育機関は、
文部科学大臣からの認可が得られます。

文部科学大臣からの認可を得た日本語教育機関を「認定日本語教育機関」と呼びます。

認定日本語教育機関は、在留資格「留学」の生徒を受け入れることができます。

② 認定日本語教育機関の教員の資格の創設

認定日本語教育機関で日本語教育を行う人は、
「登録日本語教員」の資格を有する必要があります。

※現職の日本語教師は経過措置の対象になります。詳細は後述。

登録日本語教員として登録するためには、
「日本語教員試験の合格」と「実践研修の修了」が必要です。

※試験内容等については後述。

登録日本語教員の資格は国家資格です。

登録日本語教員の資格を取得する必要がある?

「認定日本語教育機関」で日本語教師として働くのであれば、登録日本語教員の資格が必要です。

しかし、その他の機関や個人で日本語を教える場合、登録日本語教員の資格は不要です。

登録日本語教師でないのに有料で日本語を教えたからといって、
法に反するというわけではないので、ご安心ください。

また、現職の日本語教師は経過措置対象になりますので、
令和11年までは登録日本語教員の資格がなくても認定日本語教育機関で働くことができます。

登録日本語教員の資格取得方法

登録日本語教員になるには、日本語教員試験の合格と、登録日本語教員実践研修の修了が必要です。
※現職の方や要件を満たす方は経過措置の対象になりますので、要チェックです。

経過措置対象者

経過措置の対象者は、①現職者、もしくは ②要件を満たした現職者以外の方 です。

① 現職者

平成31年4月〜令和11年3月の間に、告示校、大学、認定対象の日本語教育課程、
文科省が指定する日本語教育機関で日本語教育に1年以上従事した方。

②要件を満たした現職者以外の方

必須の50項目に対応した課程修了し、学士以上の学位を有する方。

必須の50項目とは

必須の50項目とは、「必須の教育内容50項目に対応した大学等の日本語教員養成課程及び専門学校等の日本語教員養成研修」のこと。

※420時間の日本語教員養成講座を受講したことがある方は受講した講座がこれらの項目に該当するかどうか、養成講座の方に問い合わせることをおすすめします。

必須の50項目の内容は、以下の通りです。ご自身で確認される場合にご参考になさってください。

・文化審議会国語分科会が平成31年3月4日に取りまとめた「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改定版」において示された「日本語教師【養成】における教育内容」に掲げられた必須の教育内容を全て含むものであること。→ いわゆる、420時間の養成講座です。

・平成31年3月4日以降の期間に実施されたものであること。

・大学等の日本語教育養成課程については26単位以上、専門学校等の日本語教員養成研修については420単位時間以上のものであること。

・大学等の日本語教育養成課程については1単位以上、専門学校等の日本語教員養成研修については45単位時間以上の教育実習を含むものであること。

・大学等の日本語教育養成課程については6単位以上、専門学校等の日本語教員養成研修については120単位時間以上の面接による授業等又はメディア(同時双方向性が確立している場合に限る。)を利用して行う授業等を含むものであること。

登録日本語教員になる方法(経過措置対象者)

経過措置対象者は、現職者かどうか、要件を満たす課程の修了者かどうか、
民間試験に合格したか、等の条件によって、6つの区分に分かれます。

区分によって免除内容が異なるので、よくチェックしてください。
以下は、文化庁がまとめてくれた図です。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kikan_toroku_wg/wg_05/pdf/93963401_05.pdf

登録日本語教員になる方法(経過措置対象者以外)

経過措置対象者以外は、以下どちらかのルートで登録日本語教員になることができます。

<試験ルート>
・基礎試験の合格
・応用試験の合格
・登録日本語教員実践研修の修了

<養成課程ルート>
・登録日本語教員養成機関で課程修了
・応用試験の合格
・登録日本語教員実践研修の修了

登録日本語教員試験について

登録日本語教員試験は「基礎試験」と「応用試験」の2つがあります。
試験は毎年1回以上実施される予定で、初回は令和6年秋頃です。

<試験ルート> を選んだ場合、「基礎試験」「応用試験」両方の合格が必要です。
<養成課程ルート> を選んだ場合、「応用試験」の合格が必要です。

基礎試験

試験時間:120分
出題数:100問
出題形式:選択式
配点:1問1点、100点満点
合格基準:各区分で7割程度の得点があり、かつ総合点が8割程度で合格

言語、言語教育、世界や日本の社会と文化等、日本語教育を行うために必要となる基礎的な知識や技能を有するかどうかを測定します。

出題範囲は「必須の教育内容」に示された範囲内です。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100458198.pdf

応用試験

試験時間:音声問題45分、文章問題120分
出題数:音声問題50問、文章問題60問
出題形式:選択式
配点:1問2点、220点満点
合格基準:総合得点で6割程度の得点で合格

出題範囲が複数の領域にまたがる横断的な設問になります。
応用試験の一部は、日本語学習者の発話や教室での教師とのやりとりなどの音声を用いて、より実際の教育実践に即した問題を出題し、問題解決能力や現場対応能力を測定されます。

登録日本語教員養成機関の課程について

<養成課程ルート> を選んだ場合、文部科学省に認められた養成機関で
「登録日本語教員養成機関の課程」を修了する必要があります。

登録日本語教員養成機関の課程は、以下のような内容です。

・社会・文化・地域基礎
・言語と社会基礎
・言語と心理基礎
・言語と教育基礎
・言語基礎

養成課程の授業時間は375単位(1単位45分)以上と規定されています。
最低でも、45分 * 375単位 = 281.25時間 の授業を受ける計算になります。

登録日本語教員実践研修について

<試験ルート> <養成課程ルート> のどちらを選んだ方であっても、
応用試験合格後、「登録日本語教員実践研修」を修了する必要があります。

文部科学省から認可を受けた「日本語教員実践研修実施機関」が実施する実践研修を受講しましょう。

実践研修では、「日本語を教えることの基礎」は習得済みであることが前提です。
その上で、日本語学習者を対象とした教育実践を行い、
日本語教師として必要な技能を身につけることを目標としています。

実践研修の内容は、以下のようなイメージです。
・オリエンテーション
・授業見学
・授業準備
・模擬授業
・教壇実習
・実践研修全体総括

実践研修は45単位(1単位45分)以上と規定されています。
最低でも、45分 * 45単位 = 33.75時間 かかる計算になります。

登録日本語教員として登録する方法について

試験の合格や研修の修了を経て、無事登録日本語教員の資格を得たら、
文部科学省へ登録申請をする必要があります。

以下、登録申請の流れです。

  1. ポータルサイトで申請用アカウントの作成
  2. 申請ページにおいて申請情報を入力
  3. 登録手数料(4,400円)の支払い
  4. 申請ページにおいて申請書を出力・印刷
  5. 他の書類とともに申請書を郵送で提出
  6. 文部科学省で申請内容の確認
  7. 結果の通知・登録証の交付

試験に合格した方は合格証、養成課程を修了した方は修了証なども提出する必要があります。
また、現職の方で経過措置を利用する場合は、在籍証明書等も必要になります。

令和6年 登録日本語教員に関するスケジュール予定

令和6年の登録日本語教員に関するスケジュールは以下の通りで予定されています。

令和6年夏頃
・現職者向け講習の開始
・登録日本語教員養成試験の受験申し込み開始

令和6年秋頃
日本語教員試験の実施

令和6年冬頃
・日本語教員試験の合格発表
登録日本語教員の登録申請の受付開始

まとめ

本記事では「登録日本語教員」について解説しました。
2024年2月時点での情報をまとめておりますので、新しい情報が見つかり次第、更新していきます。

参考にさせていただいた資料

・「令和五年法律第四十一号日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=505AC0000000041_20240401_000000000000000

・「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案」(https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00042.html

・「日本語教育機関認定法 よくある質問集」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93967502_01.pdf

・令和5年11月文化庁国語科「必須の教育内容50項目に対応した日本語教員養成課程等の確認のための審査要項」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93964001_01.pdf

・「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律の概要」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93901401_01.pdf

・令和4年12月 文化庁 「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案(仮称)の検討状況について」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100458198.pdf

・「第5回登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関の登録手続き等の検討に関するワーキンググループ(R5.11.2)」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kikan_toroku_wg/wg_05/pdf/93963401_05.pdf

・「令和5年度日本語教員試験試行試験実施概要(案)」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_119/pdf/93904601_07.pdf

・令和5年8月文化庁「登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関のコア・カリキュラム(案)」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kikan_toroku_wg/wg_03/pdf/93932701_06.pdf

・令和5年12月文化庁国語課「登録日本語教員の登録申請の手引き」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/93982901_17.pdf

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