【評価法】テストの種類・作成方法・分析方法【無料のツール配布あり】

役立つ知識

日本語指導の評価で悩んでいる人「日本語学習者の評価方法を考えるのが難しいな…。小テストや定期テスト、ポートフォリオ作成を行っているけれど、やり方が正しいかわからない…。評価法という分野があるらしいけど、難しそうな本ばかりで読みたくない…。わかりやすく解説してください!」

このようなお悩みを解決します。

本記事の内容

・評価法の概要をわかりやすく解説

・テストの種類・作成方法・分析方法

・テスト作成用細目表&偏差値計算ツールの配布

この記事を書いているわたしは、日本語教育学科を卒業しており、現役の日本語教師です 👩‍🏫 当ブログでは日本語教師向けた「ためになる」情報や時短ツールを発信しています。

日本語教師の方のよくある悩みで、「テストってなんとなくやっているけれど、これで意味があるのかな…?活用できていない気がする…という点があると思います。

私も以前は、「なんとなく新しいテストを作成しているけれど、自信がない…」「評価者によって採点基準の異なる会話テストを実施しているのでちょっとモヤモヤ…」という感じの出来事が多々ありました。

本記事では、このような教師の皆様に向けて、評価法をわかりやすく解説&サクッと使えるツールを配布させていただきます。

【評価法】テストの種類・作成方法・分析方法【無料のツール配布あり】

今回の参考文献はこちらです。

評価法について詳しく知りたい方、体系的に学びたい方にはこちらの書籍がおすすめです。

評価方法

まずは代表的な評価方法の種類を紹介します。

テスト

最も代表的なものは「テスト」ですが、テストの中にもさまざまな種類があります。ここでは一つずつ簡単にご紹介します。

到達度テスト

到達度テストとは、学習者が受講したコース等で学んだことをどの程度習得しているかを測定するためのテストです。コース途中で学習の進捗度合いを測るものと、コース修了時に習得度合いを測るものの2種類があります。例えば、中間テストや期末テストなどが良い例です。出題内容は受講しているコースのシラバス等が元になっています。

熟達度テスト

熟達度テストとは、ある時点での学習者の熟練度を測定するために行われるテストです。出題内容は特定のコースの学習内容などとは関係がありません。一般的な場面においてどの程度日本語能力を運用できるか、どの程度日本語の知識があるか、等が測られます。日本語能力試験などは熟達度テストの一例です。

主観的テスト

主観的テストとは、採点の際に採点者の主観による影響が大きいテストのことです。作文やスピーキングのテストなどは主観的テストに分類されます。テストの作成は客観的テストより容易ですが、評価が難しく、時間がかかる点が特徴です。

客観的テスト

客観的テストとは、主観的テストと逆で、採点の際に採点者の主観による影響を受けないテストのことです。○×問題や、選択式の問題などは客観的テストといえます。

紙筆テスト

紙筆テストとは、読んで字のごとく、紙とペンを用いて回答する筆記テストのことです。一般的に「テスト」というと、この紙筆テストをイメージする方が多いでしょう。

パフォーマンス・テスト

パフォーマンス・テストとは、受験者が作文や発話を行うテストのことです。問題文の中で場面設定などを行い、口頭で発表させたり、文章を書かせたりします。

個別的要素テスト

個別的要素テストとは、出題内容が特定の分野に特化しているテストです。例えば「文法テスト」「語彙テスト」などです。○×問題や、選択式の問題などが多いです。

統合的テスト

統合的テストとは、ある課題を達成するためにコミュニケーション能力を統合して回答するように構成されたテストです。個別的要素テストとは対照的で、様々な要素を駆使して課題が達成できるかどうかという点が評価点になります。

目標基準準拠テスト

学習者が達成すべき目標や基準を明確に設定し、それに基づいてテストを作成する方法です。コース目標の達成度合いを測ることができるので、学習者の能力や知識の評価だけでなく、教育プログラムの評価や改善にも役立ちます。

集団基準準拠テスト

集団基準準拠テストとは、ある一定の集団を対象としたテストを実施し、その集団の中での相対的な位置づけを評価する方法です。つまり、学習者の成績を「この集団の中でどの程度の位置にいるか」という観点で評価します。

テスト以外

代表的なテストの種類は以上です。次に、テスト以外の評価方法を紹介します。

ルーブリック評価

ルーブリック評価とは、評価対象の品質や状態を複数の観点で評価するための評価方法です。ルーブリック評価では、評価項目を明確に定め、それに基づいて評価を行います。評価項目には、例えば内容の正確性や論理的な構成、表現力などが含まれます。評価項目を作成する点が労を要しますので、既製品をうまく活用しましょう。

ポートフォリオ評価

ポートフォリオ評価とは、学習者が過去に行った成果物や経験などをまとめた「ポートフォリオ」を評価する方法です。ポートフォリオには学習者の個性や成長過程が反映されるため、評価者が学習者の能力や特性をより正確に評価することができます。

テストの作成方法

前項では、代表的なテストの種類、テスト以外の評価方法について紹介しました。次に、具体的なテストの作成方法について紹介します。

1. テスト作成の必要性

まず、テストを作成する際には、新しいテストを作成することの必要性を十分に吟味しましょう。「既存のテストで代替できないのか」「なぜ新しいテストが必要なのか」を明確にします。また、このテストでどんな分野のどんな技能を測りたいのかも具体的にしましょう。

2. テスト実施後の活用法

次に、そのテストを実施した後に得られる情報をどのように活用するのか、も明確にしておきましょう。例えば、基準点を決めて「合格」「不合格」と分けて結果を集計する、不合格者には補講授業を設けて能力向上を目指す、などです。

3. 細目表の作成

テスト作成の必要性と、テスト実施後の活用法を検討した後に、「細目表」を作成します。「細目表」には、テストの目的、構成、出題形式、測定対象となる言語能力、などを細かく記入します。

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4. テスト問題の作成

細目表が完成したら、個別のテスト問題を作成していきます。テストの問題形式には「穴あき問題」「正しい組み合わせを選ぶ問題」「記述問題」「選択問題」などがあります。上手に組み合わせて問題を作成しましょう。

テストの分析方法

テスト採点後には、分析を行います。

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得点からわかる値

まずは、テストの結果(得点)からわかる値についてです。複雑な計算をしなくて良いので、簡単な分析をしたいときに使ってください。代表的なものは「平均値」「中央値」「最頻値」の3つです。

平均値とは

平均値 = データの値の合計 / データの要素の数

平均値とは、データの値の合計を、そのデータ要素の数で割った値のことです。例えば、3人の得点「5点、10点、15点」の平均値を求める場合、これらの値を合計した30を、要素数である3で割ることにより、「10点」という平均値を得ることができます。

中央値とは

中央値とは、データの値を小さい方から並べた場合に、ちょうど真ん中に位置する値のことを指します。中央値は、外れ値などに影響を受けにくく、データの分布の中心を把握するために用いられます。 例えば、3人の得点「5点、10点、15点」の中央値は「10点」です。

最頻値とは

最頻値とは、最も頻度の高い値のことを指します。つまり、最もよく出現する値のことです。例えば、5人の得点「5点、7点、10点、10点、13点、15点」の最頻値は「10点」です。

得点から散らばりを計算する

次に、テストの結果(得点)を計算して、散らばりを計算する方法について解説します。「偏差値」を求めるためには、ちょっと複雑な計算をしなければなりません。

分散

分散とは、データの散らばり具合を示す指標の1つで、各データが平均値からどれだけ離れているかを示す量です。分散が小さいほど、データが平均値に集中しているといえます。逆に、分散が大きい場合は、データが平均値から散らばっているといえます。

分散の求め方は以下の通りです。

1. 各データから平均値を引きます。
2. 1で得られた値を2乗します。
3. 2で得られた値を全て合計します。
4. 合計した値を、データ数で割ります。

分散を求めることで、データの散らばり具合を数値化することができます。ただし、分散は2乗のため、元の単位と異なる単位になってしまうという問題があります。このため、より直感的に理解しやすい標準偏差がよく用いられます。

標準偏差

標準偏差は、データの散らばり具合を表す統計量の1つで、分散の平方根です。分散と同様に、標準偏差が小さいほど、データが平均値に集中しているといえます。逆に、標準偏差が大きい場合は、データが平均値から散らばっているといえます。

偏差値

偏差値とは、あるデータが全体の平均値からどれだけ離れているかを標準偏差で表した値に、平均値を足して10をかけたものです。偏差値は、データの位置を標準化することで、異なる分布のデータを比較しやすくするために用いられます。

偏差値の求め方は以下の通りです。

1. 偏差値を求めたいデータから、全体の平均値を引きます。
2. 1で得られた値を、標準偏差で割ります。
3. 2で得られた値に10をかけます。
4. 3で得られた値に全体の平均値を足します。

偏差値は、平均値が50で標準偏差が10になるように標準化されているため、平均値よりも大きい値は50よりも大きく、小さい値は50よりも小さくなります。

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最後に(細目表&偏差値計算フォーマットプレゼント)

というわけで、本記事では、

・評価法の概要をわかりやすく解説

・テストの種類・作成方法・分析方法

・テスト作成用細目表&偏差値計算ツールの配布

このような内容を解説していきました。本記事にご納得していただけたら、ぜひ他の記事もご覧ください。

今回の参考文献はこちらです。

評価法についてさらに詳しく知りたい方、体系的に学びたい方はこちらの書籍を手に取ってみてください。

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