日本語教育に関心のある方なら、一度は
「日本語教育能力検定試験」という言葉を聞いたことがあると思います。
初めて試験を受験する方に向けて、
概要や宿題範囲、難易度、学習方法などをまとめてマルっと解説します◎
【前提】日本語教師の資格とは?
まず、大前提として『日本語教師の資格』についてお話しします。
2022年現在、日本語教師として働くために必要な公的資格というものはまだありません。
そのため、専門知識がない方であっても「お金をもらって日本語を教える」ということが可能です。
ただ、ほとんどの日本語学校で日本語教師を募集する際、
「日本語教師の有資格者」が応募要件となっています。
日本語教育業界では一般的に、
・4年制大学で日本語教育を専攻 / 副専攻して卒業した方
・日本語教育能力検定試験に合格した方
・420時間の日本語教師養成講座を講座を修了した方
を「日本語教師の有資格者」と呼びます。
日本語教育能力検定試験とは
『日本語教育能力検定試験』は、JEES(公益財団法人
日本国際教育支援協会) が主催している日本語教師向けの民間試験です。
1988年から試験を実施しており、2022年で35回目の開催となります。
試験は年に1回、例年10月ごろに実施されています。
この試験は、「日本語教師を目指す方・日本語教育に携わっている方を対象に
日本語教育の体系的な知識が備わっているか、状況に応じてそれらの知識を
関連づけて対応することができるか」を測ることを目的としています。
後ほど詳しくご説明しますが、合格率は20%程度で、
出題範囲も幅広く、小論文の筆記などもあります。
ただ、420時間の日本語教師養成講座での学習範囲とこの検定試験の
出題範囲が似ているので、養成講座の受講後にこの試験の合格を目指せば、
合格の可能性がぐっと広がります。
出願期間 | 令和4年7月4日(月)から 8月1日(月)まで(当日消印有効) |
試験日 | 令和4年10月23日(日)9:00~16:40 |
受験料 | 14,500円(税込) |
受験場所 | 北海道 、東北(宮城)、関東(東京)、 中部(愛知)、 近畿(兵庫)、中国(岡山)、九州(福岡) |
結果発表 | 令和4年12月23日(金)(予定) |
受験資格 | 特になし |
日本語教育能力検定試験の構成
日本語教育能力検定試験は「試験1」「試験2」「試験3」の3科目があります。
科目 | 解答 時間 | 配点 | 形式 | 内容 |
試験1 | 90分 | 100点 | マーク式 | 日本語教育に関する基本的な知識を問う問題。 |
試験2 | 30分 | 40点 | マーク式 (音声問題) | 音声を聞いて、基礎的な知識や問題解決能力を測定する。 |
試験3 | 120分 | 100点 | マーク式 &記述 | 現場での対応能力につながる問題解決能力を測定する。 |
日本語教育能力検定試験の出題範囲
日本語教育能力検定試験の出題範囲は、以下の通りです。
①社会・文化・地域
国際関係論、文化論、比較文化論的な視点とそれらに関する基礎的知識。
政治的 ・経済的 ・社会的 ・地政学的な視点とそれらに関する基礎的知識
宗教的・民族的・歴史的な視点とそれらに関する基礎的知識
②言語と社会
言語教育・言語習得について広く国際社会の動向からみた国や地域間の関係
から考える視点とそれらに関する基礎的知識。
言語教育・言語習得について,それぞれの社会の政治的・経済的・文化的構造等との
関係から考える視点とそれらに関する基礎的知識。
個々人の言語使用を具体的な社会文化状況の中で考える視点とそれらに関する基礎的知識。
③言語と心理
学習の過程やスタイルあるいは個人/集団/社会等
多様な視点から捉えた言語の習得と発達に関する基礎的知識。
言語教育に必要な学習理論/言語理解/認知過程に関する心理学の基礎的知識。
異文化理解,異文化接触,異文化コミュニケーションに関する基礎的知識。
④言語と教育
個々の学習者の特質に対するミクロな視点と,個々の学習を社会の中に位置付けるマクロな視点。
学習活動を客観的に分析し,全体および問題の所在を把握するための基礎的知識。
学習者のかかえる問題を解決するための教授・評価等に関する基礎的知識。
⑤言語
現代日本語の音声・音韻,語彙,文法,意味,運用等に関する基礎的知識と
それらを客観的に分析する能力。
一般言語学/対照言語学など言語の構造に関する基礎的知識。
指導を滞りなく進めるため、話し言葉・書き言葉両面において円滑な
コミュニケーションを行うための知識・能力。
公開されている出題範囲はとても広いのですが、
全ての分野からバランスよく出題されるというわけではありません。
年代によって傾向は異なりますが、近年は「④言語と教育」「⑤言語」の分野の
設問が多いようです。
この辺りは過去問をひたすら解いて傾向を掴むしかありません。
まずは①〜⑤の全ての分野を浅く広く学び→過去問や試験対策本をやり込みましょう。
参考までに、公式HPで公開されている 平成28年度の問題をご紹介します。
イメージを掴むために、さらっと読んでみてください😇
日本語教育能力検定試験の難易度・合格率
次に、日本語教育能力検定の難易度と合格率についてお話しします。
こちらは、平成23年度〜令和3年度の応募者・受験者・合格者数の推移です。
この間の合格率は、23%〜30%程度です。
日本語教育能力検定試験は出題範囲が広く、記述式の問題もあることなどから
ある程度の難易度は覚悟する必要があります。
ただ、事前に420時間の養成講座を受講したり、しっかり自分で準備してから
受験に臨むことで、合格の可能性をあげることは可能です。
また、年々受験者数が増えてきており、TwitterなどのSNSで励まし合いながら
受験勉強している人もよく見かけます。
自分なりの勉強方法を見つけて、しっかり試験対策ができたらいいですね!
日本語教育能力検定試験の合格ライン・最高点
日本語教育能力検定試験の合格ラインは公開されていませんので、
他の方の推測や、平均点のご紹介になります。
日本語教育能力検定試験の配点は、
試験1〜試験3の3科目を合わせて240点満点です。
合格ラインは非公開ですが、2019年度は165点(68.8%)、
2020年度は158点(65.8%)程度だと推測されています。
令和3年度 #日本語教育能力検定試験 の合格最低点数推定は158点。かなり難易度が高かったようです。https://t.co/jhZEohImzP pic.twitter.com/4aFod4zNfm
— 日本語LearningCommunity (@NihongoLC) December 24, 2021
また、2021年度の平均点は各科目以下の通りです。
※マーク式のみの点数ですので、220点満点になっています。
試験科目 | 受験者数 | 平均点 | 最高点 |
試験1 | 100点 | 59.9点 (59.9%) | 92点 |
試験2 | 40点 | 25.1点 (62.8%) | 39点 |
試験3 | 80点 | 45.6点 (57%) | 76点 |
総合 | 220点 | 130.7点 (59.4%) | 202点 |
日本語教育能力検定試験の勉強方法
最後に、日本語教育能力検定試験の勉強方法をご紹介します。
日本語教育能力検定試験対策の教材はかなり充実していますので、
独学だけでも十分に可能です。
私のイチオシ勉強法は、
① NAFL日本語教師養成プログラム で全体のイメージを掴む。
② 試験対策本で問題に慣れる。
③ 記述対策もしっかりやる。
という方法です。
①の『NAFL日本語教師養成プログラム』の教材は販売が再開されました!!!少しお値段が張るのですが、日本語教育能力検定試験の勉強をするなら絶対に持っていた方がいいセットです。
②の問題練習としては、アルク出版の『日本語教育能力検定試験 合格するための本』
が使いやすかったです。Kindle版もありますが、書き込んだりフセンを貼ったりできる 紙の本がおすすめです。
③の記述対策としても、アルク出版の『日本語教育能力検定試験に合格するための
記述式問題40』がおすすめです。問題数が多く、解説もわかりやすかったです😇
具体的な勉強方法はこちらの記事で詳しく解説しています。
よければぜひご覧ください😇
独学以外には、420時間の日本語教師養成講座に通ってみて、
日本語教育全体の知識を得るという方法もあります。
420時間の日本語教師養成講座は試験対策講座ではないのですが、
養成講座での学習範囲と試験の出題範囲が類似しているので、試験対策としても有効です。
TCJの日本語教師養成カレッジでは、教育訓練給付金制度も利用可能で、条件により、最大10万円が支給されます!ぜひ1度無料説明会に参加してみてください😇
最後に
本記事では、日本語教育に興味がある方へ向けて、
「日本語教育能力検定試験」の概要や宿題範囲、難易度、
学習方法などをまとめてマルっと解説しました◎
皆様のお役に立てましたら幸いです💓