【日本語教育】正しいカリキュラムの作成方法・作成例 - にほんご Study

【日本語教育】正しいカリキュラムの作成方法・作成例

日本語教師向け

「カリキュラムデザインを任されたけど、どうしたらいいかわからない…」
「一般的な日本語教育コースのカリキュラム例が知りたい!」
このようなお悩みはありませんか?

私も、初めて日本語クラスのカリキュラム作成を任されたときは
何をどうすればいいのかさっぱりわからない状況でした😭

本記事では、カリキュラムの作成方法と、私の作成した例をご紹介します!
皆様のご参考になれば幸いです💓

こんな方におすすめ!

・新しいコースのカリキュラムデザインをしている方

・真似できるカリキュラム例が知りたい方

日本語コースカリキュラムの作成方法

まずは一般的なカリキュラムの作成手順をご紹介します。

カリキュラムとは

まず、「カリキュラム」の定義を明確にします。

カリキュラムとは、「一定の期間内に特定の教育目的を達成するために
必要な教育内容をどう学習 させるか, 総合的に計画されたもの」とします。(畑佐, 2018)

また、本記事で解説するカリキュラムデザインの手法は、
Richards, J.Cの提唱した手法をご紹介しています。

【参考文献】

① 畑佐, 2018『日本語の習得を支援するカリキュラムの考え方』くろしお出版

② Richards, J.C, 1984 “Language curriculum development.”

Just a moment...

③ Richards, J.C, 2017 “Curriculum Development in Language Teaching”

①事前調査(ニーズ調査 / レディネス調査 / ビリーフ調査)

作成予定のカリキュラムを使用する集団が事前に決まっている場合、
細かい事前調査を行い、分析結果をカリキュラム作成に生かすことができます。

カリキュラム作成の意図によって必要な調査は異なります。
あなたの作成するカリキュラムにはどのような事前調査が必要か見極めましょう。

ニーズ調査

ニーズ調査では、学習者が何を必要としているかを調査します。

・日本語学習の目的
・学習目標
・どの技能をどの程度伸ばしたいか
・どのような場面で日本語を使用するのか
・コース修了時にどのような状態になっていたいか

学習者にこのような質問をし、どのような日本語教育が求められているのかを探ります。

ニーズ調査をするべき人は…
★個別のオンライン日本語クラスを受け持つ方
★特定の集団用にカスタマイズされたクラスでカリキュラムを作成する方

レディネス調査

レディネス調査では、学習者の日本語学習歴や現在の学習環境について調べます。

・これまでどの程度日本語を勉強してきたか
・どのようにして日本語を勉強してきたか
・1週間に何時間くらい日本語学習に時間を充てられるか
・オンラインで日本語を学習する環境が整っているか
・家族と同居している場合、家族の協力が得られるか

学習者にこのような質問をし、どの程度学習環境が整っているかを探ります。

★レディネス調査は基本的に全てのクラスで行うべきでしょう。

ビリーフ調査

ビリーフ調査では、学習者と教師がどのようなビリーフ(信条)を持っているのかを明らかにします。

【学習者】
・教師にどのような役割を望んでいるのか
・どのくらい自律学習ができると考えているのか
・外国語学習に対してどのような考えを持っているのか
・どのような学習方法や教室活動が有効だと考えているのか、等

【教師】
・どのような教師が理想的だと考えているのか
・外国語学習はどのようなものだと捉えているのか
・どのような教授法が有効だと考えているのか、等

学習者や教師が持っているビリーフ(信条) とカリキュラムが
乖離していては効果が下がる可能性がありますし、
逆に、学習者や教師のビリーフ(信条) が偏っているのなら補正する必要があります。

ビリーフ調査は…
★作成したカリキュラムを特定の集団で使用することが事前に決まっている時
に行うと効果的です。

②目標設定

事前調査を終えたら、コースの目標を設定します。

コースの目標は、「①具体的かつ」「②計測可能で」「③達成可能性が高く」「④ニーズに合っていて」「⑤期限が明確な」ものが最適です。

例えば、

・N3レベルの日本語学習者を1年後のJLPT試験でN2に合格させる。
・会話が苦手なN3レベルの学習者を
半年後にJF日本語教育スタンダードB1レベルのロールプレイで合格点を取らせる。
・IT企業に勤務予定の学習者に対して、半年間で専門用語を500語覚えさせる。

のようにコース目標を決めます。

③シラバス・デザイン

次に、②で設定したコース目標を細かい要素に分解し、コースを組み立てます
「何をどのようなスケジュールで教えれば、その目標に到達できるのか」を考える段階です。
最も地道で労力のかかる部分ですので、気合を入れていきましょう!

まず、シラバスには
・構造シラバス
・場面シラバス
・機能シラバス
・話題シラバス
・技能シラバス
・タスクシラバス
などの種類があります。
コース目標に最適なシラバスの方向性を決定します。

シラバスの方向性が決まったら、細かいコンテンツを決めていきます。

例えば、「N3レベルの日本語学習者を1年後のJLPT試験で
N2に合格させる。」をコース目標に設定したのであれば、
・教えるべき 語彙/漢字/文法 はどのようなもので、いくつあるのか
・どの教材を使用するべきか
・どのような順序で教えるべきか
・何時間で教えるべきか
・宿題はさせるべきか
このような内容を把握し、コースとして組み立てる必要があります。

シラバス・デザインについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

④教授法の決定

教えるべき内容が決まったら、どのような教授法で教えるのが最も効果的か考えましょう。

教授法には、
・直接法 / 間接法
・ナチュラル・メソッド
・ナチュラル・アプローチ
・サイレント・ウェイ
・サジェスト・ペディア
・オーディオ・リンガル・アプローチ
・コミュニカティブ・アプローチ
などなど… 様々な理論に基づいた手法があります。

代表的な手法を2つここで紹介します。

古くから支持されている「オーディオ・リンガル・アプローチ」は、
「リピート練習」「代入練習」「変形練習」「応答練習」などを繰り返し
文型を覚えさせるという方法です。

コミュニケーション能力の獲得を重視しているのが「コミュニカティブ・
アプローチ」と呼ばれる手法で、コミュニケーション現場で役に立つ能力
の獲得を目指しています。単に言葉や表現の暗記だけでなく、タスク達成の
ための戦略なども含まれます。

代表的な教授法をこちらの記事にまとめています。ぜひご覧ください。

⑤指導評価

教える内容と教え方が決定したら、最後に評価の方法を決定します。

・コース目標で設定した目標を達成できたかどうか / どのくらいの達成度か
・どのようにして達成度合いを計測するのか
・コース途中の定期試験の実施有無 / 実施方法
・ポートフォリオ作成
・事後アンケートなど

評価といっても測定方法は試験だけではありませんので、
コースにあった評価方法を探してみてください😇

また、アンケートや他教員からの指摘などでカリキュラムに修正点が見つかった場合は、
次年度のコース開始前にカリキュラムを見直し・修正してより良いものにしていきましょう🙌

日本語コースカリキュラムの作成例

一般的なカリキュラムの作成手順はお分かりいただけたと思いますが、
自分で作成する時間も暇もない><
という方向けに私の作成したカリキュラム例をご紹介します!

こちらに私の作成したカリキュラム例がありますので、ご参考になりましたら幸いです💓

最後に

本記事では、

「カリキュラムデザインを任されたけど、どうしたらいいかわからない…」
「一般的な日本語教育コースのカリキュラム例が知りたい!」

このような方向けにカリキュラム作成の方法と、カリキュラム例のご紹介をいたしました!
皆様のお役に立てましたら幸いです💓

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