【日本語教育】「Vはじめる」「Vだす」の違い・注意点

文法解説

こんにちは!日本語教師のMilkyです。

学習者さんから

✅「Vはじめる」と「Vだす」は違いますか?
✅「Vはじめる」と「Vだす」はいつ使い分けますか?

このような質問をされたことはありませんか??

日本人がなんとなく使い分けていて、ニュアンスが全然違うと感じられるのに
学習者さんに説明しようとすると、スラスラと出てこないのが現実ですよね😂

ぜひ本記事を読んで、「Vはじめる」と「Vだす」
の教え方をマスターしてください🙌

この記事を書いているわたしは、日本語教育学科を卒業しており、現役の日本語教師です 👩‍🏫
どなたかのお役に立てたら幸いです✨

【日本語教育】「Vはじめる」「Vだす」の違い・注意点

それでは早速、「Vはじめる」「Vだす」の意味や使い方、注意点を紹介します。

どちらもN4、N3レベルの文型です。
「初級後半レベルでこんなに難しいの😭」と
学習者も教師も困ってしまうポイントの1つかと思います。
初級後半文法の壁を一緒に乗り越えましょう!!

今回の参考文献はこちらです。
類似表現の違いや使い分け方、注意点について詳しく記載されています。
このような文型辞典は、日本語教師なら1冊は手元に置いておきたい本です。

Vはじめる

【意味】動作の開始を表す。「Vおわる」の対義語。

【文型】Vます形+始める

【注意点】

意思動詞、無意思動詞のどちらに対しても使用可能。
「開始する」「継続する」という意識/意思が強い。
・「はじまり」と「おわり」がある動作に対して使う。
・「結婚する」「止まる」「つく」などの瞬間動詞には使いにくい。

【例文】

・中学生になってからスマホを使い始めました。
・自習時間になったら、勉強し始めてください。
・子どもがねてから、映画を見始めましょう。
・このおかしはおいしすぎて、食べ始めると止まらない。

・わたしとつまは10年前に結婚し始めた。(✖️)
・信号が赤になったので、車を止め始めた。(✖️)
・暗くなってきたので、電気をつけ始めた。(✖️)
・探していたネックレスが自分の部屋で見つかり始めた。(✖️)

Vだす

【意味】動作の開始を表す。

【文型】Vます形+始める

【注意点】

意思動詞、依頼、命令、意向を表す表現には使えない。
・「V始める」よりも「突然」「急に」「とうとう」と一緒に使うことが多い。
予想されていなかった動作が開始されるときによく使う
・「結婚する」「止まる」「つく」などの瞬間動詞には使いにくい。
・「泣く」「笑う」「雨が降る」のような、生理現象、心理現象によく使われる。

【例文】

・さっきまで晴れていたのに、急に雨が降り出した。
・母が見えなくなり、赤ちゃんは大声で泣き出した。
・父がとつぜん歌い出した。
・男の子は急にどこかへ走り出してしまった。

・疲れたので、きゅうけいし出した。(✖️)
・先生が「はじめ」と言ったら、名前を書き出してください。(✖️)
・あついので、エアコンをつけ出す。(✖️)
・日本に住み出したばかりなので、まだなれていません。(✖️)

+αの豆知識

最後に、日本語教師なら知っておきたい豆知識をご紹介します。

時間を表す表現には、「テンス(時制)」「アスペクト(時間の流れ)」の2種類があります。

テンス(時制) … 過去、現在、未来、を表します。
アスペクト(時間の流れ) … 開始前、動作を継続中、終了直後、完了、など。
その瞬間の動作の進捗状況を表します。テンス(時制)より時間の流れを感じさせる表現です。

今回ご紹介した「V始める」「V出す」はどちらも
時間の流れ/動作の進捗状況を表すアスペクトの表現の1つです。

日本語教育能力検定試験を意識されている方は、
このような細かい単語も覚えていきましょう😇

最後に

本記事では、

「Vはじめる」と「Vだす」の違い・注意点・例文

をご紹介しました。

以上、参考になりましたら幸いです😇

このサイトは日本語教師の皆様のお役に立てる情報発信を目指しています!
本記事がどなたかのお役に立てましたら幸いです💓

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