【シラバス】日本語教育の代表的なシラバス6つを解説!

日本語教師向け

本記事では、日本語教育能力検定試験の試験範囲でもあり、
日本語教師が授業計画を作成する上でも使える『シラバス』をテーマに解説します。

【シラバス】日本語教育の代表的なシラバス6つを解説!

日本語学校のコース等で使用されている代表的なシラバスをご紹介いたします😇

日本語教育だけでなく、英語などの外国語教育にも使えますので、
言語教育に携わっている方のお役に立てると思います。

ぜひ最後までご覧ください。

シラバスについて

まず、シラバスについて簡単にご説明します。

シラバスとは、「授業計画」です。

シラバスの中には、

・授業の目的
・到達目標
・授業内容、各授業での学習目標、
・課題
・使用教材、使用設備
・教授法
・担当教員
・年間スケジュール、授業回数
・評価方法

などが具体的に記載されています。

シラバスには様々な種類があり、授業目標や受講者のニーズによって使い分ける必要があります。
本記事ではシラバスの種類と各シラバスの概要や特徴をご紹介します。

構造/文法シラバス

構造/文法シラバスとは、文構造/文法を勉強しやすい順に学習するよう設計されたものです。
易しい文法から難しい文法へ、という順になっています。

「〜は…です」という文法を勉強した後で
「〜は…ですか?」「〜は…でした」を勉強する、というように
学んだ文法知識を一つずつ積み重ねて知識を増やしていくイメージです。

構造/文法シラバスで設計された教材には、以下のようなものがあります。

『みんなの日本語』シリーズ

『げんき』シリーズ

構造/文法シラバスの特徴には、

・難易度順に学習するので、教えやすく、勉強しやすい。
・体系的に学習することができる。
・難易度順に教えることを優先しているので、非実用的な知識を教えることもある。
・学習した文法を実際にどのような場面で使うのか想像しにくい。

などがあります。

場面シラバス

場面シラバスとは、場面ごとに使う日本語の表現をまとめたものです。

「病院」という場面を想定して「〜がいたいです」等の表現を学び、
「旅行」という場面を想定して「〜へいきたいです」「〜はどこですか?」
等の表現を学ぶ、といった具合に進んでいきます。

場面シラバスで設計された教材には、以下のようなものがあります。

『はじめよう日本語』シリーズ

場面シラバスの特徴には

・明確なニーズがあり、短期集中的なコースを行う場合に使える。
・各単元で学習した表現しか使えるようにはならない。
(体系的に学んでいないため、自分で応用することができない。)
・教師が学習者の既習範囲を把握しにくく、コミュニケーションが取りづらい。

などがあります。

話題/トピックシラバス

話題/トピックシラバスとは、話題ごとに使う日本語の表現をまとめたものです。

「家族」「出身国」のような話題であれば、
「わたしの 母/父/姉/弟は 〜をしています/〜がすきです」
「わたしの国で/には、〜がゆうめいです/〜があります」
などの表現を学びます。

話題/トピックシラバスで設計された教材には、以下のようなものがあります。

『テーマで学ぶ基礎日本語』シリーズ

『にほんごこれだけ!』シリーズ

話題/トピックシラバスの特徴には

・学習者のニーズに合わせてトピックが選べるので、モチベーションが湧きやすい。
・難易度順に学ぶわけではないので、基礎から学習したい方には向かない。
・教師が学習者の既習範囲を把握しにくく、コミュニケーションが取りづらい。

などがあります。

機能シラバス

機能シラバスとは、日本語の表現を機能ごとにまとめたものです。

ここでいう機能とは、「謝る」「許可を求める」「依頼する」などです。
例えば、「許可を求める」という機能を学習する際には
「〜てもいいですか?」「〜させていただけますか?」「〜できますか?」
等の表現を学びます。

機能シラバスで設計された教材には、以下のようなものがあります。

『NIHONGO FUN & EASY Survival Japanese Conversation』シリーズ

『中上級学習者のためのブラッシュアップ日本語会話 みがけ!コミュニケーションスキル』

機能シラバスの特徴には、

・日本語で何かをしたいとき、どのような表現を使えばいいかがわかるので実践的。
・初中級以上のレベルで使用すると効果的。

などがあります。

技能シラバス

技能シラバスとは、技能ごとにまとめられたものです。

ここでいう技能とは、「読む」「書く」「話す」「聞く」の4つを指します。
「読む」に焦点を当てたシラバスであれば、
読解の時のポイントや読解の練習問題が多く載っています。

技能シラバスで設計された教材には、以下のようなものがあります。

『Speak Japanese!』シリーズ

『耳から覚える』シリーズ

技能シラバスの特徴には、

・一通り学習し終えた後、苦手分野を克服する時に使いやすい。
・「会話だけ学びたい」のようなニーズを満たすことができる。

などがあります。

課題/タスクシラバス

課題/タスクシラバスとは、課題遂行時に使う日本語の表現をまとめたものです。

「知らない街で日本人に道を尋ねる」という課題の場合、
日本人にどのように声をかけるか、どのように道を教えてもらうか、
日本語が通じない時はどのようなツールを使うか、等を考えさせます。

課題/タスクシラバスで設計された教材には、以下のようなものがあります。

『まるごと』シリーズ

『できる日本語』シリーズ

課題/タスクシラバスの特徴には、

・コミュニケーション能力を身につけるのに最適。
・既習項目の実践練習として使用すると効果的。

などがあります。

最後に

本記事では、日本語教育能力検定試験の試験範囲でもあり、
日本語教師が授業計画を作成する上でも使える『シラバス』をテーマに解説しました。

『このシラバスが最適解!』と言い切れるものはなく、どれも一長一短です。
また、カリキュラム作成時には複数のシラバス形式を組み合わせる手法もよく使われています。

ぜひ様々なシラバスを使用してカリキュラム作成時にお役立てください!

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