日本語教師「日本語の助詞を学習者に説明するのが難しいな…。ニュアンスの違いは感じるんだけど、どう説明したらいいかわからない…。代わりに助詞をわかりやすく説明してください!」
このような問題を解決します。
・初級で学ぶ日本語の助詞を解説
・わかりやすい教え方、例文を紹介
・学習者の間違えやすいポイントを紹介
この記事を書いているわたしは、日本語教育学科を卒業しており、現役の日本語教師です👩🏫 当ブログでは日本語教師向けた「ためになる」情報や時短ツールを発信しています。
日本語教師の方のよくある悩みで、「助詞の説明が難しい…」という点があると思います。
私も初めて教壇に立った時、学習者から『で』と『に』の違いの説明を求められて、固まってしまった経験がありました…;;
本記事では、初級で学ぶ助詞について体系的にまとめ、わかりやすい例文なども紹介しています。授業作りの参考になれば幸いです💓
【日本語教師】助詞の種類・間違えやすいポイント・教え方まとめ!
日本語の基本的な助詞は「が」「を」「に」「へ」「と」「から」「より」「で」「まで」の9つです。これらを一つずつ解説していきます!
本記事の参考図書はこちらです◎ 日本語教師に役立つ知識が満載ですので、ぜひご一読ください!
が
①主体
動作や状態の主体を表します。
<例文>
・女の人が歩いています。
・おじいさんが笑っています。
<注意点>
「が」と「は」の違いがわからず、混乱する学習者が多いです。
主体を表す「が」と「は」の違いは、【目の前にあるもの】か【話題のものか】で使い分けるよう指導するとわかりやすいです。【目の前にあるもの】は『が』、【話題のもの】は『は』を使います。
【目の前にあるもの】
・女の人が歩いています。(歩いている女の人を見ながら)
・おじいさんが笑っています。(笑っているおじいさんを見ながら)
【話題のもの】
・おじいさんはおばあさんと暮らしています。(「おじいさん」を話題にした文)
・学生はどこですか?
学生は教室にいます。(「学生」は話題に上ったもの。)
②対象
「好きな」「上手な」等の形容詞の対象については、「が」を使います。
<例文>
・動物が好きです。
・カラオケが苦手です。
<注意点>
初級では、「好きな」「嫌いな」「上手な」「苦手な」「ある/いる」「わかる」「できる」を使う文の目的語に「が」を使う、とだけ指導すれば良いです。
を
①対象
動作の対象を表します。
<例文>
・日本語を勉強します。
・本を読みます。
<注意点>
前述の通り、『「好きな」「嫌いな」「上手な」「苦手な」「ある/いる」「わかる」「できる」を使う文の目的後には「が」を使う』という点を注意します。
②通過点
場所の移動や通過を表します。
<例文>
・いつもこの大通りを歩きます。
・やまとばしという橋を渡します。
<注意点>
移動や通過を表す動詞(歩く、散歩する、渡る、登る、等)を使うことが多いです。
③起点
起点や出発点を表します。
<例文>
・田中さんは教室を出て、保健室へ行きました。
・この電車は10時に山口駅を出発します。
<注意点>
出発を表す動詞(出る、出発する、等)を使うことが多いです。
に
①存在の場所
存在・所有の場所を表します。
<例文>
・教室に机があります。
・うちに犬がいます。
<注意点>
動作の場所を表す「で」と混同する学習者が多いです。存在を表しているのか、動作を表しているのか、で使い分けるよう指導しましょう。
②時間
時間を表します。
<例文>
・毎朝6時に起きます。
・銀行は3時に閉まります。
③到達点
到達点を表します。
<例文>
・石垣島に行きます。
・ステージに立ってください。
<注意点>
到達点を表す「に」は、動作の方向を表す「へ」と混同しやすいので、注意が必要です。学習者から質問があれば、「『に』は目的地を表し、『へ』は方向性を表す」と説明すれば良いでしょう。ただ、多くの場合「に」と「へ」は置換可能なので、詳しく説明する必要はありません。
④対象・相手
動作の対象や相手を表します。
<例文>
・駅で友人に会いました。
・母にプレゼントをあげました。
<注意点>
目的の「を」と混同しやすいポイントです。動詞を勉強する際に、「に」を取るのか、「を」を取るのか、しっかり覚えさせるのが良いです。
⑤「から」と同義
「から」と置き換え可能で、「動作の発祥地」を表します。あげる、もらう、受身の文等で使われる「から」と置き換え可能な場合が多いです。
<例文>
・恋人に手紙をもらいました。
・先生に褒められました。
⑥移動の目的
移動の目的を表します。「Vに行く/来る/帰る」等のフレーズで覚えさせます。
<例文>
・スーパーへ買い物しに行きます。
・日本へ日本語を勉強しに来ました。
⑦頻度
頻度を表します。
<例文>
・1年に1回家族で海外旅行へ行きます。
・1週間に1回、恋人に会います。
へ
①動作の方向・相手
動作が行われる方向・対象相手を表します。
<例文>
・毎日学校へ行きます。
・友人へお土産を送ります。
<注意点>
先述の『到達点を表す「に」』と混同しやすいです。学習者から質問があれば、「『に』は目的地を表し、『へ』は方向性を表す」と説明すれば良いでしょう。ただ、多くの場合「に」と「へ」は置換可能なので、詳しく説明する必要はありません。
と
①「いっしょに」という意味
動作を一緒に行う相手を表します。
<例文>
・田中さんと一緒に学校へ行きます。
・恋人と旅行へ行きたいです。
②引用
引用を表します。
<例文>
・先生は明日テストがあると言いました。
・山田さんは病気だと思います。
から
①起点
起点を表します。
<例文>
・この風潮は日本から始まった。
・1時から授業を始めます。
<注意点>
先述の『到達点を表す「に」』と混同しやすいです。学習者から質問があれば、「『に』は目的地を表し、『へ』は方向性を表す」と説明すれば良いでしょう。ただ、多くの場合「に」と「へ」は置換可能なので、詳しく説明する必要はありません。
②受け取り動作の出どころ
受け取りの動作の相手・出どころを表します。
<例文>
・父からネクタイをもらいました。
・友人からケーキとプレゼントをもらいました。
<注意点>
先述の『「から」と同義』と同じように使えます。
より
①起点
起点を表します。
<例文>
・学校よりお知らせです。
・ミーティングは12時より開始します。
<注意点>
先述の、『起点を表す「から」』と同義です。ただ、「から」の方が使える範囲が広いです。基本的には「から」を使うように指導すれば問題ありません。
②比較
比較を表します。
<例文>
・日本より中国の方が人口が多いです。
・田中さんは国語が得意です。しかし、山田さんの方がより得意です。
<注意点>
「AはBより〜だ」「Cはより〜だ」のように、似た文型が2つあるので要注意です。
で
①動作の場所
動作の場所を表します。
<例文>
・うちでダンスの練習をしませんか?
・レストランで食事をした。
<注意点>
先述の、『存在の場所を表す「に」』と混同しやすいので注意が必要です。存在を表しているのか、動作を表しているのか、で使い分けるよう指導しましょう。
②手段・方法
手段や方法を表します。
<例文>
・日本語で話しましょう。
・これはスプーンで食べてください。
③原因・理由
原因・理由を表します。
<例文>
・津波で建物が流されました。
・大雨で洪水になりました。
まで
①時間・場所の終点
時間や場所の終点を表します。起点を表す「から」と一緒に使うことが多いです。
<例文>
・学校から駅まで、歩いて10分くらいかかります。
・朝8時から夕方5時まで勉強しましょう。
最後に
というわけで、本記事では、
・初級で学ぶ日本語の助詞を解説
・わかりやすい教え方、例文を紹介
・学習者の間違えやすいポイントを紹介
このような内容を解説していきました。本記事にご納得していただけたら、ぜひ他の記事もご覧ください。
本記事の参考図書はこちらです◎ 日本語教師に役立つ知識が満載ですので、ぜひご一読ください!