ボランティア日本語教師「ボランティアの日本語教師を始めたけれど、いい教材が見つからない…。主教材として利用できるテキストを探している…。とにかく無料でダウンロードできて使える日本語の教科書が欲しい!!」
このような問題を解決します。
・日本語を勉強している外国人の方におすすめのテキスト紹介
・ボランティア日本語教室などで使える無料の日本語の教科書
この記事を書いているわたしは、日本語教育学科を卒業しており、現役の日本語教師です👩🏫 当ブログでは日本語教師向けた「ためになる」情報や時短ツールを発信しています。
ボランティア日本語教室の方のよくある悩みで、「日本語を効果的に教えたいが、どの教材がおすすめなの…??」「無料で使える日本語のテキストが欲しい…。」という気持ちがあると思います。
私も日本語の授業を始めたばかりの頃、無料のテキストを探してネットサーフィンをしまくった経験があります…。当時は無料で使いやすい教材がなかな見つからなくて苦戦しました…。
最近は日本語教室で使えるフリー素材や無料の教材が増えてきています。しかし、テキスト(教科書)スタイルのものはあまり多くありません。本記事では、【無料でダウンロード可能】な、主教材として使えるテキストをご紹介します!
生活の日本語テキスト
まずは「生活者としての外国人」向けの教材です。日常生活で必要な日本語を学ぶことができるテキストです。
1. いろどり生活の日本語
『いろどり 生活の日本語』は、国際交流基金が開発したテキストです。
基礎的な日本語のコミュニケーション能力の獲得を目的としています。
対象は、初級レベルの日本語学習者です。(基本的な挨拶や自己紹介ができる、非常に簡単な会話ができるレベル)
種類豊富な音声ファイルも自由にダウンロードが可能です。無料で音声ファイルまである教材は中々ないので、非常に魅力的なポイントです!!
テキスト内容・所要時間
『いろどり 生活の日本語』は、
・入門
・初級1
・初級2
の3部構成になっています。
その他、付属資料(絵カードなど)や、指導方法のアドバイス動画、なども無料で公開されています。
「入門」「初級1」「初級2」はそれぞれ 18課 から構成されています。1課あたりの所要時間は2時間半〜3時間程度とされています。
2. 生活日本語テキスト なでしこジャパニーズ
『生活日本語テキスト なでしこジャパニーズ』は、神戸国際コミュニティセンターが開発したテキストです。
日本で生活する方が知っておいた方がいい日本の制度や、外国人の方が直面する場面で必要な日本語を、短期間で集中的に学習することを目的としています。
入門・初級レベルから中級レベルまで、幅広い方にご利用いただけます。入門・初級レベルの方には、その課で最低限学習してほしいポイントだけを教えてあげてください。(ポイントについては教え方の手引きをご覧ください。)
このテキストは各課完結型と成っています。1課から順番に進める必要はありません。学習したい課から始めることができるのが魅力です。
テキスト内容・所要時間
『生活日本語テキスト なでしこジャパニーズ』は、
・基本版テキスト
・基本版参考資料
・翻訳版テキスト(日英版・日中版・日越版)
・翻訳版参考資料(日英版・日中版・日越版)
・音声CD(日英版・日中版・日越版)
から構成されています。
非常にわかりやすく整理されていますし、ボリュームもそこそこあります。英語、中国語、ベトナム語母語話者が多い教室でぜひご利用いただきたいテキストです。
本冊は12課から成っています。1課あたりの学習時間目安はは2時間程度です。
3. できる?できた!!くらしのにほんご
『できる?できた!!くらしのにほんご』は、公益財団法人兵庫県国際交流協会が開発したテキストです。
実際の生活場面で活かせる日本語を学ぶことを目的としています。
レベル1とレベル2に分かれており、レベル1は初級前半(挨拶や簡単な言葉がわかるレベル)、レベル2は初級後半(非常に簡単な会話ができるレベル)レベルが対象となっています。
翻訳版が豊富な点が魅力です。英語版・中国語版・ベトナム語版・スペイン語版・ポルトガル語版があります。
テキスト内容・所要時間
『できる?できた!!くらしのにほんご』は、
・本冊(かつどう、これだけ漢字、生活便利手帳)
・生活でよく使うことば
・わたしの日本語チェックシート
の3部で構成されています。
「わたしの日本語チェックシート」は、ポートフォリオのようなものです。いつ何を勉強したのか、どのようなことができるようになったのか、を記します。
本冊は10課で構成されています。レベル1、レベル2、それぞれの所要時間は60時間です。
4. やさしい日本語 EASY JAPANESE
『やさしい日本語 EASY JAPANESE』は、NHKが開発したテキストです。
対象は、初級レベルの日本語学習者です。(基本的な挨拶や自己紹介ができる、非常に簡単な会話ができるレベル)
アニメーション動画が豊富な点が魅力です。インターネット接続が可能な日本語教室なら使わない手はありません。
テキスト内容・所要時間
『やさしい日本語 EASY JAPANESE』は、元々「NHKワールド JAPAN」の番組です。ストーリーに沿ったアニメを見ながら初級レベルの日本語を学習することができます。
レッスンは 48課あり、途中でクイズなども用意されています。
5. 外国人住民のための日本語教室オリジナルテキスト
『外国人住民のための日本語教室オリジナルテキスト』は、公益財団法人京都府国際センターが開発したテキストです。
来日後まもない外国人の方が日本で生活する上で、必要な日本語のコミュニケーション能力の獲得を目的としています。
対象は、初級レベルの日本語学習者です。(基本的な挨拶や自己紹介ができる、非常に簡単な会話ができるレベル)
テキスト内容・所要時間
『外国人住民のための日本語教室オリジナルテキスト』は、
・基礎クラス1
・基礎クラス2
の2部構成です。
それぞれにおいて20課のレッスンが用意されています。
また、翻訳版も豊富にあり、英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語に対応しています。
6. さかい de にほんご
『さかい de にほんご』は、堺市が開発したテキストです。堺市で開催されている「はじめての人(入門レベル)のための日本語教室」で使用されています。
テキスト内容・所要時間
『さかい de にほんご』は、
・つながるにほんご
・ばめんのにほんご
の2部構成となっています。
その他、活動の手引き、副教材(ことばリスト、イラスト資料)などもダウンロード可能です。
「つながるにほんご」は7課から成っています。1課あたり90分〜120分程度所要します。
「ばめんのにほんご」では、6つの会話場面が提示されています。1つの会話場面は30分〜40分程度で学習できます。
7. 日本語学習・生活ハンドブック
『日本語学習・生活ハンドブック』は、文化庁が開発したテキストです。
他のテキストは「日本語を学ぶ」ことに焦点を当てていますが、本書は少し切り口が違います。
本書では、「日本語学習の必要性」「生活情報」「日本語学習の情報」「便利な日本語表現」を知ることができます。
韓国語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、英語版があります。これらを母語とする方にはぜひ持っておいてほしい1冊です。
テキスト内容・所要時間
『日本語学習・生活ハンドブック』は、
・日本語学習の必要性
・生活情報
・日本語学習の情報
・便利な日本語表現
の4章構成になっています。
記載内容全てが各国語で翻訳されており、日本語レベルに関わらず日本について知ることができます。
特に第2章の「生活情報」では、日本の健康保険制度、年金制度、在留資格、労働基準法などの法律やルールを学ぶことができます。
来日したばかりの方に必ず必要な情報になりますので、そのような方がいればおすすめしていただきたいテキストです。
外国人技能実習生向けテキスト
次に、外国人技能実習生向けに特化されたテキストを紹介します。
8. 技能実習生のための日本語 みどり
『技能実習生のための日本語 みどり』は、JITCO(公益財団法人国際人材協力機構)が開発したテキストです。
外国人技能実習生向けの日本語コンテンツサイト「JITCO日本語教材ひろば」内で提供されています。
※テキストを利用するためには、無料のメンバー登録が必要です。
技能実習生が現場や生活場面で必要な日本語のコミュニケーション能力を養うことを目的としています。
テキスト内容・所要時間
『技能実習生のための日本語 みどり』は、32課から構成されており、各課は4つのセクションに分かれています。
1課あたりの学習時間は4時間程度を想定されています。来日前に少なくともに16課までを学習し終えることを目標としています。
9. げんばの日本語
『げんばの日本語』は、OTIT(外国人技能実習機構)が開発したテキストです。
外国人技能実習生向けであり、各職種の専門用語や技能実習で使用される用語、表現が取り上げられている点が特徴です。
2023年現在、「機械・金属」「食品製造」「建設」「農業」のテキストが公開されています。
テキスト内容・所要時間
『げんばの日本語』は、
・げんばのことば
・げんばのかいわ
・はなしましょう(農業のみ)
の3種類のテキストがあります。
技能実習に関わる言葉や表現を学ぶことができるので、外国人技能実習生への日本語教育に特化されているクラスにぜひご利用いただきたいです。
児童向けテキスト
最後に、児童向けテキストを紹介します。
10. 外国人児童・生徒用日本語指導テキスト「たのしいがっこう」
『外国人児童・生徒用日本語指導テキスト「たのしいがっこう」』は、東京都教育委員会が開発したテキストです。
日本語指導が必要な外国人児童への日本語指導を目的としています。教室内や学校行事で使われる言葉や表現の紹介がメインです。
脅威の24か国語(中国語、フィリピノ語、韓国語、英語、スペイン語、タイ語、ポルトガル語、ミャンマー語、ベトナム語、モンゴル語、ロシア語、ペルシャ語、アラビア語、フランス語、ラオスご、ルーマニア語、ネパール語、ベンガル語、ヒンディー語、インドネシア語、トルコ語、シンハラ語、ウルドゥー語、ウクライナ語)対応です。
テキスト内容・所要時間
『外国人児童・生徒用日本語指導テキスト「たのしいがっこう」』は、10課から成っています。
11. 新版 みえこさんのにほんご
『新版 みえこさんのにほんご』は、公益財団法人三重県国際交流財団が開発したテキストです。
日本語指導が必要な子どもたちへの日本語指導を目的としています。教室内や学校行事で使われる言葉や表現の紹介がメインです。
テキスト内容・所要時間
『新版 みえこさんのにほんご』は、
・新版 みえこさんのにほんご
・れんしゅうちょう1,2
・絵カード
・指導のアクセス
などから成っています。
本冊は35課から構成されていて、ポルトガル語、スペイン語、中国語、韓国語、タガログ語、タイ語の翻訳がついています。
最後に
というわけで、本記事では、
・日本語を勉強している外国人の方におすすめのテキスト紹介
・ボランティア日本語教室などで使える無料の日本語の教科書
このような内容を紹介していきました。ぜひ他の記事もご覧ください。
本気で日本語教師を目指すなら
本記事では、ボランティア日本語教室でメインテキストとして使用したい、無料教材をご紹介しました。
本記事をお読みの皆様の中は、ボランティアで日本語教師をされている方もいらっしゃると思います。
ボランティアでの日本語教師経験も重ねてきて、「もっと上手に日本語を教えていきたい!」という方には日本語教師養成講座の受講をおすすめします。
日本語教師養成講座では、日本語を母語としない外国人学習者に日本語を教えるための必要な知識(文法、言語・教育、社会・心理、音声)を学びます。
実技の授業では、教壇に立って現場ですぐに使える「実践力」を鍛えることが可能です。
TCJでは、日本語教師を目指す方、日本語教師に興味がある方にむけて、特別講演会を開催中です。