こんにちは!日本語教師のMilkyです。
本記事では、日本語会話の試験に使える「ロールプレイテスト」について解説します。
「会話試験」の難しさ
「会話の試験」って、どのように行なっていますか?
私が以前教えていた日本語学校では
① 試験範囲の文法を使って、教師が学生に質問をする。
② 試験範囲の文法を使って、学生が回答する。
③ 教師が「流暢さ」「文法/語彙使用の適切さ」等の観点で評価する。
というやり方でしたが、、、
どうしても
・試験観点が曖昧な部分があり、教師によって評価基準がズレる
・語彙や文法ベースの試験になってしまう
といった問題点がありました。
これらの問題を解決するため、散々調べてたどり着いたのが、国際交流基金が公開している「ロールプレイテスト」です。
本記事では、この「ロールプレイテスト」について解説します。
ロールプレイテストとは
本記事でご紹介するのは、国際交流基金が公開している「JF日本語教育スタンダード準拠 ロールプレイテスト」です。
このロールプレイテストは、口頭での課題遂行能力を測るためのテストです。
JFスタンダードの指標であるA1〜C2の6段階のレベルで評価します。
ロールプレイテストの特長・メリット
ロールプレイテストを使うことで、「会話試験の難しさ」で挙げた問題点を解決することができます!
基準が明確なため、評価軸がブレにくい
会話試験は評価基準を定めるのが難しく、教師によって評価軸がブレてしまうという問題点がありました。
→ロールプレイテストでは、具体的でわかりやすい評価基準が明文化されています。
そのため、教師による評価軸のブレが最小限に抑えられます。
以下、『テスター用 マニュアル』から引用
語彙・文法能力ではなく、「課題遂行能力」を測ることができる
2つ目の問題点として、「語彙や文法ベースの試験になってしまう」という点がありました。
→ロールプレイテストではJFスタンダードに準拠しているため、「課題遂行能力」を測ることができます。つまり、「どんな文法を使ったか」ではなく、「どんなタスクがどの程度達成できたか」という基準で評価します。
ロールプレイテストのやり方
ロールプレイテストの流れ
ロールプレイテストは以下の流れで実施します。
① 教師が学習者のレベルを予想します。(A1〜C2レベル)
予想したレベルのロールプレイテストを行います。
② 達成できたら1つ上のレベル
達成できなかったら1つ下のレベルのロールプレイテストを行います。
③ 「達成できた」レベルを、学習者のレベルと評価します。
★「達成できた」かどうかの判定が難しい場合、
最大3回、同じレベルのロールプレイを実施可能です。
★テストは全体で15分程度を想定。
画像はテスター用マニュアルより引用。
※ロールプレイテストのやり方は、テスター用マニュアルに詳しく記載されています。
本記事ではこのマニュアルを簡略化して解説しております。
ロールプレイテストの判定方法
ロールプレイテストには3つの判定タイミングがあります。
① 1回ごとのロールプレイが「達成できたかどうか」の判定
ロールプレイを1回行うごとに「達成できたかどうか」を判定します。
「十分に達成できた」「なんとか達成できた」「惜しかったが達成したとは言えない」「全く達成出来なかった」の4段階で判定します。
② レベル(A1〜C2)に達したかどうかの判定
1つのレベルに対し、①を1〜3回実施します。
(①を1回で判定できれば1回で良いが、判定が難しい場合に最大3回まで実施可能)
その結果、そのレベルに達しているかどうかの判定を行います。
③ 学習者のレベルを判定
②で達していると判断した場合、1つ上のレベルのロールプレイテストを実施、達していないと判断した場合、1つ下のレベルのロールプレイテストを実施します。
最終的にどのレベルまで達することができたか、で学習者のレベルを判定します。
ロールプレイテスト例
では、実際に使えるロールプレイテスト例をご紹介します。
ロールカード例
上記リンク先に、国際交流基金が公開しているロールカードがあります。
学習者にあった話題のカードを選び、学習者に渡してください。
※英語部分は学習者の母語に書き換えてください。
その後は、ロールカードの指示に従って会話(ロールプレイ)を行ってください。
テストの進め方動画
テスト時の注意点や、実際の進め方の例の動画が公開されています。
こちらのページの <テストの進め方> 部分の動画再生ボタンをクリックしてご覧ください。
レベルごとの音声サンプル
A2〜C1のレベルで、どんな会話をしたらどんな判定を下すべきか、音声サンプルや解説も用意されています。
こちらのページ下部の「音声サンプル」の部分からご確認ください。
最後に
本記事では、日本語会話の試験に使える「ロールプレイテスト」について解説しました。
テスター用マニュアルには、ロールプレイテストのやり方、判定方法のポイント、などかなり詳しく紹介されています。
また、外国語版もあるので、海外の日本語学校でも使用しやすいです。無料でダウンロードできるので、ぜひ一度ご確認ください!