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【最新】国内外の日本語学習者数、学習者の動機、日本語教育の現状について

こんにちは!日本語教師のMilkyです。

本記事は、

・国内外の日本語学習者数の推移が知りたい

・日本語学習者の動機や属性が知りたい

・国内外の日本語教育の現状について知りたい

このような方向けの内容になっています。

本記事は、関係機関による調査や参考文献をもとに作成しました。参考文献はこちらです。

日本語教師にとって有益で興味深い情報が盛り沢山でしたので、ぜひ一度お手に取ってみてください。

この記事を書いているわたしは、日本語教育学科を卒業しており、現役の日本語教師です 👩‍🏫日本語教師の方のお役に立てたら幸いです✨

【最新】国内外の日本語学習者数、学習者の動機、日本語教育の現状について

それではまず、海外の日本語学習者数や学習の動機、日本語教育の現場について解説していきます。

海外の日本語学習者・日本語教育現場について

海外の日本語教育現場については、国際交流基金が3年に1度調査を行い、結果を発表しています。2023年現在、最新のデータは2021年の調査結果によるものです。

参考:国際交流基金

国際交流基金 - 海外日本語教育機関調査

日本語学習者数

海外の日本語学習者数は約379万人、日本語教育機関は18,272機関、日本語教師数は74,592人です。日本語学習者数上位15カ国は下表の通りです。

順位国・地域日本語学習者数
1中国1,057,318
2インドネシア711,732
3韓国470,334
4オーストラリア415,348
5タイ183,957
6ベトナム169,582
7米国161,402
8台湾143,632
9フィリピン44,457
10マレーシア38,129
11インド36,015
12フランス29,569
13ニュージーランド28,072
14香港27,665
15ブラジル20,732

1位はここ数年中国がキープしています。同じ漢字圏の中国の方にとって、日本語学習は取り組みやすいのだと考えられます。

2021年の日本語学習者数上位10カ国の、日本語学習者数の推移は下図の通りです。

2009年以降、上位4カ国は中国、インドネシア、韓国、オーストラリアで変化がありません。

しかし、韓国やインドネシアの日本語学習者数は減少が続いています。逆に、中国やオーストラリア、ベトナムの日本語学習者数は近年増加傾向にあります。

日本語教育機関

次に、海外の日本語学習者がどこで日本語を学習しているかをまとめました。

国によって、日本語を学習している機関にかなり差があることがわかります。これは、各国の政策や経済状況などが要因です。

例えば、オーストラリアでは「初等教育」で日本語を学習している方が60%以上を占めています。これは、1994年にオーストラリアで発表された政策(「オーストラリアの学校におけるアジア語・アジア学習推進計画」)によるものです。

また、ベトナムやフィリピンでは「学校教育以外」の割合が50%以上を占めています。フィリピンでは、「経済連携協定(EPA)」という制度で日本へ働きに来る方が大変多いです。この制度を利用して来日する方が来日前に日本語を学習する方が多いため、このような結果になっています。ベトナムでも同様に「技能実習」という制度で日本へ働きに来る方が多く、来日前に日本語を教育する機関が多いため、このような結果になっています。

日本語学習の目的

日本語学習者が日本語を勉強する目的に関する調査結果は、以下の通りです。

順位割合(複数回答可)目的
160.1%日本語そのものへの興味
259.9%アニメ・マンガ・JPOP・ファッション等への関心
347.9%歴史・文学・芸術等への関心
440.6%自国内での現在の仕事、将来の就職
535.6%自国内での進級・受験・進学
634.5%日本への観光旅行
734.2%日本での将来の就職
829.3%日本への留学
924%国際理解・異文化交流
1023.3%科学・技術への関心
1118%政治、経済、社会への関心
129.8%母語または継承語

「就職や進学で有利になるため」のような実利的な理由よりも、「日本語への興味」「アニメ等への関心」の方が多数だったのが少し驚きです。

日本国内の日本語学習者・日本語教育現場について

では次に、日本国内の日本語学習者や日本語教育現場について解説していきます。

国内の日本語教育現場については、文化庁が年に1度調査を行い、結果を発表しています。2023年現在、最新のデータは2021年の調査結果によるものです。

参考:文化庁

令和3年度国内の日本語教育の概要 | 文化庁
令和3年度国内の日本語教育の概要について掲載しています。

日本語学習者数

国内の日本語学習者数は約12万3千人、日本語教育機関は2,541機関、日本語教師数は39,241人です。日本語学習者数は前年比で3万7千人以上減少しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響が多いと考えられます。

順位国・地域日本語学習者数
1中国26,539
2ベトナム18,871
3フィリピン5,677
4ブラジル3,605
5インドネシア3,245
6ネパール2,744
7アメリカ1,841
8タイ1,542
9韓国1,524
10日本1,347
11ミャンマー1,177
12台湾1,123
13ペルー1,077
14スリランカ983
15インド975

日本語学習者数の出身国・地域別の内訳は上表の通りです。国内でも、1位はここ数年中国がキープしています。日本出身の方の数が意外に多くて、驚きです。

2021年の国内日本語学習者数の属性は下図の通りです。

留学生の割合が圧倒的に高く、次にビジネス関係等、研修生技能実習生、と続きます。留学生が多い理由としては、1984年に「留学生10万人計画」が、2008年に「留学生30万人計画」が施作されたためです。

日本政府は、少子高齢化が進む日本で留学生が「高度人材」として就業してくれることを期待し、このような計画を立案しました。

また、単純労働に近い業務を行う現場では、「技能実習生」や「特定技能外国人」を受け入れられるよう法律を整備しています。

日本語学習者の多い都道府県

次に、国内の日本語学習者の多い都道府県をまとめました。

順位都道府県日本語学習者数
1東京都27,019
2大阪府7,034
3愛知県5,617
4兵庫県4,263
5埼玉県4,091
6神奈川県3,615
7千葉県3,538
8福岡県3,315
9静岡県2,538
10広島県1,690

やはり東京などの関東圏や、大阪愛知県に人口が集中しています。その他、外国人が住みやすい兵庫県、工場など働き口の多い静岡県、国際的な都市になりつつある福岡県、観光地や地方学術都市として有名な広島県も上位にランクインしました。

日本語教師数と年代

国内の日本語教師数と年代は下図の通りです。

日本語教師数(年代別)単位:人単位:%
10代2500.6
20代2,1395.5
30代3,4278.7
40代6,26516
50代7,72419.7
60代8,94822.8
70代以上4,69512
不明5,79314.8

最も人数が多いのが「60代以上」、その次が「50代以上」という結果になりました。全体の4割以上が50〜60代であるということがわかります。これは、この数字にボランティア日本語教師も含まれるためです。現在日本国内の日本語教師の約半数がボランティア日本語教師です。

最後に

本記事では、

・国内外の日本語学習者数の推移が知りたい

・日本語学習者の動機や属性が知りたい

・国内外の日本語教育の現状について知りたい

このような方向けに、調査のまとめ記事を作成しました。

本記事は、関係機関による調査や参考文献をもとに作成しました。参考文献はこちらです。

日本語教師にとって有益で興味深い情報が盛り沢山でしたので、ぜひ一度お手に取ってみてください。

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